古びた喫茶店で

  • Posted on 4月 14, 2013 at 9:13 AM

人通りの多い煩雑な商店街の中に、憩の場所を見つけた。
小さな喫茶店だ。月に2度ほどのペースで通っている。気が向いたので、今日も行ってきた。
その喫茶店は、商店街の本通りから一つ外れた路地の、細長い雑居ビルの二階にある。細い階段を上がると、感じのよいジャズが小さな音量で流れている。
店内は暗い。昼間でも薄暗い。清掃は行き届いているが、内装は古めかしい。ちょっと稼働音の大きなエアコンには「1976年製造」と書かれたステッカーが茶色くなって張りついている。
コーヒー一杯300円。窓際の席に腰掛け、道中を人が流れゆく様を窓から眺めながらコーヒーを飲む。コーヒーは極上というわけではない。ちょっと安っぽい味がするが、その安っぽさがどこか懐かしい感じがする。
私が行くときにはいつも客は私しかおらず、私にコーヒーを出した後、店主は退屈そうにカウンターで新聞を広げている。店主に話しかければ上機嫌で話し相手になってくれることはわかっているのだが、店主の話が長くなり帰るタイミングを逸するので気軽に話しかけないことにしている。
ここのナポリタンスパゲティは格別に上手いとの評判を聞いたが、まだ食べたことがない。訪れるたびに注文しようと思うのだが、なんだか懐かしくて切ない気持ちで胸がいっぱいになり、とても何か食べられる気がしない。それで、コーヒーだけ飲んで帰ってきてしまうのだ。今日もコーヒーだけだった。

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